物理と数学! ここどうなってんの~?

工学系の著者が気ままに書きます.大学初級の物理と数学で,初学者が「ここどうなってんの~?」と思うところを中心に取り上げていきます.改めて学び直したい人もどうぞ.

運動方程式を解いてみよう!(粘性抵抗力)

アイ・キューピット

こんにちは!

まろです.

 

今日は粘性抵抗のある系を考えましょう.

粘性抵抗とは,文字通りネバネバと運動の邪魔をする力のことです.

レイノルズ数流体力学の用語で,慣性項と粘性項の比を表す無次元数)が小さいときにはおおよそ速度に比例することが分かっています.

今は大きさのない質点を考えているのでレイノルズ数は定義しにくいですが,ここではあまり速くなく,粘っこい流体中の運動と考えればいいでしょう.

つまり,今回考える運動方程式

m\ddot{r}(t)=-c\dot{r}(t)

です.

cは「減衰係数」または「ダンパ係数」と呼ばれる定数です.

「粘性係数」は流体の物性値の名前なので,あまり使わない方がいいと思います.

 

さて,この式をよく見ると・・・

両辺が簡単に積分できますね!

\dot{r}(t)=-\frac{c}{m}r(t)+C_1

さらにこれは,簡単な微分方程式の形で,

\frac{d}{dt}\left(r(t)\mathrm{e}^{ct/m}\right) = C_1\mathrm{e}^{ct/m}

と変形できます.

自分で検算してみてください.

 

両辺を積分すると,

r(t)\mathrm{e}^{ct/m}=\frac{mC_1}{c}\mathrm{e}^{ct/m}+C_2

整理して,

r(t)=\frac{mC_1}{c}+C_2\mathrm{e}^{-ct/m}

となります.

またこれを微分して,

\dot{r}(t)=-\frac{cC_2}{m}\mathrm{e}^{-ct/m}

です.

 

この一般解に初期条件を入れてみましょう.

簡単化のためにここからはx方向のみを考えて,

x(t)=\frac{mC_1}{c}+C_2\mathrm{e}^{-ct/m}

とします.

初期条件を\dot{x}(0)=v_0x(0)=0としてみると,

C_2=-\frac{mv_0}{c}C_1=v_0

となります.

まとめると,

x(t)=\frac{mv_0}{c}(1-\mathrm{e}^{-ct/m})

です.

物理でおなじみの指数関数が出てきましたね.

まぁ線形常微分方程式の解の基底が指数関数だから当然と言えば当然ですが.

指数が負なので,指数の項は時間が経つと減衰していきます.

つまり質点の速度は0に収束し,位置は\frac{mv_0}{c}に収束します.

速度が小さくなると抵抗力も小さくなるため,いつまで経っても静止することはないのです.

 

ばねの時は永遠に同じ振動が続いていましたが,この場合はどんどん質点のエネルギーが小さくなっていきます(「エネルギー」はまた今度定義します).

これが減衰のある運動の特徴です.

 

次回はもう少し複雑な系を考えてみましょう!

 

ちなみに,初学者には「青山秀明,力学,学術図書出版社」が読みやすくて良いと思います.

演習問題と解説もちゃんと書いてあります.

著者の大学初級向けの講義の教科書ですので,難しすぎることなくまとめられています.

 まろはこの本の2010年度版で入門しました.

ではまた!

 

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