物理と数学! ここどうなってんの~?

工学系の著者が気ままに書きます.大学初級の物理と数学で,初学者が「ここどうなってんの~?」と思うところを中心に取り上げていきます.改めて学び直したい人もどうぞ.

幾何ベクトルと数ベクトル

アイ・キューピット

こんにちは!

ごきげんいかがですか? まろです.

初回の記事の内容を何にしようか考えまして,物理をやる上で最初に必要となるベクトルについて話すことにしました.

 

タイトルにある幾何ベクトルと数ベクトルですが,この違いを意識している人って少ないのではないでしょうか?

今日はこれらの区別について思うところを書いていきますね.

 

みなさんは,われわれがいる3次元空間上の粒子の位置を表してくださいと言われたとき位置ベクトルを使いますよね?

この位置ベクトルを定義するとき,反射的にr\in \mathbb{R}^3と書いてしまいがちです.

これってどうなん?

 

\mathbb{R}^3というのはそもそも3次元数ベクトル空間であって,幾何ベクトルではないのです.

ここでこれらの違いを述べますと,

幾何ベクトル:大きさと向きからなる量.

数ベクトル:単に3つの数の組.

となります(ざっくりしてますがお許しを).

例えば粒子の位置を表すとして,数ベクトル表現では

 [ x \ y \ z ] とか [ \rho \ \theta \ \phi] とかで表しますね.

これでは座標系のとり方によってベクトルそのものが変わってしまいます.

それは実際の空間を\mathbb{R}^3という抽象的な空間に写像しているためです.

 

一方幾何ベクトル表現では,空間に3つの一次独立な幾何ベクトルe_1, e_2, e_3があって,これの一次結合で表します.

e_1, e_2, e_3が正規直交基底で,それに重なるようにそれぞれx,y,z軸をとると,粒子の位置はr=xe_1+ye_2+ze_3と表せます.

われわれのいる空間に実在するベクトルの集合をVとして,r\in Vです.

ここでrは空間に「実在している」ものなので,軸や基底のとり方を変えて,r=x'e'_1+y'e'_2+z'e'_3と表現しても r自体は何も変わらずそこにあり続けるのです.

 

物理現象は座標系のとり方に依らないという要請を考えると,物理現象を中心に考えるのが幾何ベクトル表現で,観測者の視点を中心に考えるのが数ベクトル表現なのです.

 

V\mathbb{R}^3線形代数で言うところの同型なのでどちらで考えても良いのですが,必ずしも数ベクトルの成分と幾何ベクトルの成分が一致しないことに注意が必要です.

例えば,デカルト座標系においては基底ベクトルと軸の向きを合わせれば [ x \ y \ z ] r=xe_x+ye_y+ze_zのように成分が一致しますが,球座標では [ \rho \ \theta \ \phi]  の成分を用いてr=\rho e_{\rho}+\theta e_{\theta}+\phi e_{\phi}とすることはできません.

この球座標の例以外にも,抽象的な空間(位相空間など)を考える際にはそれが数ベクトル空間での話であって特に幾何的な意味はないと割り切っておけば,混乱しにくいと思います.

また分野によってどちらの表現を使うかが異なるので,教科書を読むときや講義を聴くときに意識してみてください.

 

以上,ベクトルについてでした.

今後もこんな感じでつぶやいていきたいと思います.

では,今日はこの辺で!

 

 

 

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