物理と数学! ここどうなってんの~?

工学系の著者が気ままに書きます.大学初級の物理と数学で,初学者が「ここどうなってんの~?」と思うところを中心に取り上げていきます.改めて学び直したい人もどうぞ.

運動方程式を解いてみよう!(線形ばね弾性力と粘性抵抗力 臨界減衰編)

アイ・キューピット

こんにちは!

いよいよバネ・マス・ダンパ系の最後の解「臨界減衰」です.

「臨界」というのは境目を意味していて,減衰振動と過減衰の中間ということです.

特性方程式が重解をもつということからも,非常に特殊なケースだと言えます.

 

さて,一般解を求めましょう.

特性方程式を解いて...あれ?

重解のときは,基本解が2つ出てこない.

どうしたらいいだろう?

 

実はこの場合の e^{-\alpha t}でない方の基本解はt e^{-\alpha t}であることが知られています.

本当か確かめてみてください.

自分でやってみることが重要です.

 

確かめたとして,次に行きますね.

基本解が分かったので,一般解はそれらの一次結合である

(C_1 + C_2 t)e^{-\alpha t}

となります.

 

初期条件をx_0, \ v_0とすると,

x(t) = (x_0 + (v_0 + \alpha x_0)t)e^{-\alpha t}

です.

 

実は,臨界減衰が日常に取り入れられている場面があります.

それは「ドア」です.

ドアの上に,腕のようなものが付いているのを見たことがあるでしょう.

あそこに,バネとダンパが入っています.

ドアを閉めるときには,できるだけ早く,かつできるだけ静かに閉まってほしいですよね.

この2つは相反する要求ですが,臨界減衰には収束が早くかつ閉まる前に原点を通り過ぎない(ある条件下で)という性質があります.

減衰振動では,原点を何度も行き来する運動となりますし,

過減衰では,e^{\alpha t}の項が収束を遅らせます.

その中間の「最適な」解が臨界減衰なのです.

工学では,このように相反する指標の下で最も良い解を見つける「最適化問題」が多く扱われます.

 

ドアに限らず,モーターの位置決めの制御でも,制御入力によって2階の運動方程式を臨界減衰の式にチューニングすることができます.

これについては今度紹介します.

 

ドアの話に戻ります.

初期位置が正で,初期速度が負の場合を考えましょう.

これは,開いているドアを手で突いて閉めようとする状況に対応します.

初期速度がv_0+\alpha x_0 \gt  0なら,ドアは原点を通らずに原点に収束します.

v_0が小さいということは,ある程度静かに閉めようとした場合です.

このとき,ドアは「バン!」という音を立てずに閉まります.

 

では,v_0が大きい,つまり思い切り閉めようとした場合はどうでしょう?

ある時刻においてx(t) \lt 0となります.

つまり「バン!」と閉まります.

ですから,想定されていない強さで閉めると,臨界減衰といえども耐えられません.

設計者はドアの重さや閉める力,風の強さなどを考慮してバネとダンパを設計するのです.

 

ドアは静かに閉めましょう.

 

次回からはモータの位置決め制御について話します.

ではまた!

 

 

 

 

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